プロセスの簡素化はどこまで許されるか

昨日の続きです。

『第57装甲軍団の死闘』オリジナルの戦闘解決プロセスがたいへん手間がかかるため、デザイナーによる簡素化が行われることになりました。

この「プロセスの簡素化」に関して、ちょうどラリー・ボンド氏からいただいたBANZAIマガジン第14号(8月発売号ですよ)原稿「HARPOON AND THE SOUTH ATLANTIC WAR」に記されていました。本稿、一期一衛氏の計らいにより掲載が実現しました。ありがとうございます。

『ハープーン』初版のルールは海軍での教育に用いることも念頭に置いて比較的シンプルなものでした。しかし出版後に起きたフォークランド紛争における海戦は、想定した以上に複雑な要素が含まれていました。その代表的な例が、レーダーで捕捉されないようアルゼンチン軍が用いた超低空で接近する戦術。単純に探知できた/できなかったというだけではなく、超低空飛行を行うリスクと燃料の余分な消費=戦闘可能時間の制約という、それまで考慮されなかったことをゲームで反映する必要が生じました。

なぜ「必要」か? それが現実に起こったから、という理由もありますが、プレイヤーがその戦術を選択する/しないの決断を行うべきだからです。『ハープーン』に限らず、戦闘(戦争)のシミュレーションであれば、プレイヤーの立場である指揮官が下せる、そして戦闘(戦争)への影響が大きい決断はゲーム・システムの中にプロセスとして提示すべきです。その幅をどこからどこまでに設定するか、デザイナーやデベロッパーの力量が問われます(ラリーさんも、プレイヤーが決断できる要素が増えるほど、プレイ時間は幾何級数的に長くなる、と釘を刺しています)。

ということを踏まえると、『第57装甲軍団の死闘』オリジナルの戦闘解決プロセス(中隊〜連隊規模のユニットごとプレイヤーに射撃目標を選択させるなど)は少々やり過ぎで、スタック=連隊あるいは諸兵科を組み合わせた戦闘団単位で戦闘を解決するほうが理に適っていると言えそうです。プレイヤーの立場は軍団長、あるいは軍司令官なのですから。

過剰すぎず、ストイック過ぎず、塩梅が難しいところですが、面白いと感じられるウォーゲームはまさにこの塩梅がうまくいっているようです。

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