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中国製「統合全ドメイン作戦」シミュレーション

ボンサイ・ゲームズとも関連の深い中国のウォーゲーム・パブリッシャーWar Drum Games(戰鼓遊戲)が新作、『Joint All Domain Operation: 全域戦場』をリリースしました。Twitter(X)でもツイートされていたので、ご存じの方も多いかと思います。

今回発売されたのは台湾周辺海域の海空戦を扱うパッケージ1-AとそのDLC(ダウンロード・コンテンツと呼ばれていますが、実体を伴うカウンターが用意されています)3種、それから台湾における地上戦をテーマにしたパッケージ1-BとそのDLC 2種です。

ルールを読んだわけではないので詳細は不明ですが、パッケージ1-Aで目を引くのがマップがずいぶん東にまで広がっていること。

1ヘクスのスケールは75 km

台湾海峡の支配は問題ではなく、台湾を効果的に孤立させるためには東側の海域をいかに制圧するかにかかっている、という課題がうかがえます。この点は昨年来、日本側でも台湾有事シミュレーションで指摘されている点で、これを実現するために不可欠な中国側のアセットが航空母艦だと見なされています。

空母2隻を確認。『対台湾特別軍事作戦202X』は、3隻揃った時点で行動するという想定でデザインしました。

中国がその気になれば、台湾への上陸は阻止できない、あるいは極めて困難であり、では、その後どのように対抗するかを考える必要があります(本作においては統合全ドメイン作戦をもって)。日本国際問題研究所の台湾海峡有事シミュレーション(2022年開催)でも、「主戦場は台湾海峡よりも、東シナ海および台湾東部海域になる(米軍の台湾へのアクセス確保をめぐる争い)」との評価が下されています。

では、台湾における地上戦はどのような様相を見せるのか。これを検証するツールがパッケージ1-Bです。

1ヘクスのスケールは15 km

同社は2021年に「近未来戦争」シリーズとして、小隊〜中隊規模の台湾上陸をテーマにしたゲームを出版しています。今回のパッケージ1-Bには同作のフィードバックとアップデートが行われているものと推測されます。

こちらは中国国外での販売はなかった模様。

言葉を選ばずに言えば、(我々から見て)脅威とされている国が、脅威とされているテーマの民生用ウォーゲームを出版し、その脅威に直接的・間接的にさらされる国がそのゲームを入手でき、彼我をどう評価しているのか・どう評価されているのかを検証できるというのはなかなかすごいことだと思います。願わくば検証の結果が双方とも「けんかはよせ、腹が減るぞ」の境地に至ることを。

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