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『ペリリュー』と歴史の後知恵/ルールのQ&A情報更新

太平洋の地獄: ペリリュー』早速楽しんで(苦しんで?)いただいております。

本作はソリティア・ゲーム「D-Day at」シリーズの一作で、最も難易度が高い作品と言われています。もともと同シリーズの全作品には厳しめの勝利条件が設定されており、「シリーズ全部好きなんだけど唯一勝てた『タラワ』が一番」という海外の有名ブロガーもいるほど。

『ペリリュー』が難しい理由のひとつに、日本軍の戦術変換(水際撃滅→長期持久)を米海兵隊が予想しておらず、そのための準備を怠っていたことがあげられます。しかも第1海兵師団は作戦前、ラッセル諸島のパブブ島で待機・訓練を行いましたが、小さな不毛の島では十分な休息も取れず、ただ疲労しただけでした。恐らくこうした事情も反映されているのでしょう、本作における第1海兵師団は士気旺盛とは言えず、一定の人的損失を被ると「壊滅的損害」を喫してゲーム途中で敗北します。また戦闘解決時に必要となる「日本軍の戦術・装備に対抗する米軍の戦術・装備」も合致しないことが(シリーズの他作品と比べて)多いように感じます。

ちなみにペリリュー島の戦いでも日本軍は戦車を伴った無謀とも思える反撃を行っており、ゲームでも反映されていますが、これは水際撃滅を狙ったものではなく、長期持久を見越した時間稼ぎ的な意図であり、ウムロブロゴル山を拠点とした抵抗が本番となります。この反撃の効果については日米の記録でずいぶん印象が異なっています。ゲームでは反撃開始のタイミングによって大きく結果が変わります。

上陸直後の展開はまさにこのとおり。(『ペリリュー ―楽園のゲルニカ― 1』より ©武田一義 / 平塚柾緒 白泉社)

ペリリュー島の戦いは、歴史的な後知恵を承知で言えば、戦略的な意義を見出しにくい戦いでした。マッカーサーによるフィリピン作戦を側面から支援するため、同島の飛行場が重要であるとの認識から行われた作戦でしたが、占領後、飛行場がそのために使用されることはなかったのです。こうした背景もあって、米軍に厳しい勝利条件──人的損害を最小限にせよ、島を早期に制圧せよ──が設定されているのかもしれません。そして歴史を知っている我々は、だからこそこの課題に挑戦し、この戦いの持つ意味を体感したくなるのでしょう。

以下はルールのQ&Aです。製品紹介ページにも同じ内容が記してあります。

8.7 近接戦闘イベント: 増援
連絡線が引けない日本軍陣地にも強化マーカーを置けるのか?

いいえ、通常の強化マーカーの配置条件と同じで配置できません。この場合は「イベントなし」になります。

13.2 日本軍のアクション: 戦車アクション(オーバーラン)
異なる陣地色を持つ陣地の歩兵と戦車の射撃が同じ米軍ユニットにヒットを与えた場合、射撃フェイズで開いたカードの陣地色の順番に従って処理すればよいか?

そのとおりです。カードに記載されている陣地色を左から順番に解決していきます。

そうであれば、戦車の陣地色のほうが遅く処理することになっていた場合、ステップ・ロス制限のルールによりヒットは無視され、オーバーランは発生しないということになるのか?

そのとおりです。仮に歩兵陣地に同じ優先順位で射撃目標にできる別の米軍ユニットがいる場合はルール6.3.4に従い、歩兵陣地はその別の米軍ユニットを射撃し、戦車ユニットは当該米軍ユニットを射撃することになります。その射撃でヒットが生じればオーバーランが発生します。

カード・イベント(#27)
「オレンジ色陣地」は黄色陣地のことか?

そのとおりです。

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