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雨、体調不良、そして美しき連携(ナポレオン1815: 3人対戦)(3)

本稿は「BANZAIマガジン」第15号に掲載された鹿内靖氏のアフターアクション・レポートです。本作は2人で対戦しても面白いのですが、真骨頂はフランス vs イギリス&プロイセンをそれぞれ1人が受け持つ3人対戦。本日より3日間、3回に分けてお伝えいたします。(画像提供はDRAGOON氏)

ワーテルロー会戦の顛末

6月17、18日(第7〜10ターン)

第7ターンの主導権フェイズでようやく先手を得たフランス軍は、イギリス軍2個軍団の守るワーテルローを攻撃する。戦闘時のカード数優越もあり、撃破戦力数3対2でどうにか勝利。

しかしイギリス軍は陣地を犠牲にして退却を免れると、後の手番で2ユニットをワーテルローに追加投入し、態勢を整える。

ナポレオンの後を追ってきたグルーシーの軍団は、快速を活かしてイギリス軍騎兵斥候を退けながらハレを陥れる。カトル・ブラから撤退した3個軍団は砲声を聞いてワーテルロー方向を目指すも、まだまだ道は遠い。

第8ターンに入ると、イギリス軍プレイヤーはナポレオンを敗北させようとワーテルローで反撃を敢行する。集結していたイギリス軍4ユニットは、3個軍団にウェリントンを加えたものだった。この地でナポレオンとウェリントンの対決を企図するとは、遊興の場での心意気とでもいえるだろうか。

今度は戦闘時のカード数でフランス軍が劣勢を強いられる。だがナポレオンも意地を見せた(カード運のよさをロマンティックに表現してみただけである)。またも撃破戦力数3対2でフランス軍が勝利する。イギリス軍はワーテルローから退却していく。

カトル・ブラとワーテルローの戦闘に全力を傾注したイギリス軍は、ブリュッセルを放棄していた。それをグルーシーが掠め取っていく。

第9から10ターンにかけて、フランス軍プレイヤーは、ナポレオンの2個軍団とグルーシーの軍団でウェリントンを追いつめ、決勝会戦を挑むことを目論んでいた。

だが、イベント“降雨”! 雨が降ると移動力は全てマイナス1される。さらに、軍団はなんらかの活動を行うだけでプラス1疲労を被る。

軍団の許容疲労量は8。それを超えると、どんなに戦力があっても一挙に壊滅してしまう。疲労は戦闘由来の発生が最も多い。疲労は戦力損失の2倍から3倍の割合で発生する。

移動でも疲労する。3を超える(4以上の)移動力を使えば、1つ超えるたびに1疲労を被る。敵軍団と同じエリアに進入しても1疲労。そこから離脱しても1疲労。カードプレイにより軍団が疲労を被ることもある。

疲労の除去はターン最後の回復フェイズに行われる。1個軍団につき1枚のカード消費が許され、記載の疲労回復数(1か2)だけ除去される。回復フェイズを終えた時点で、5疲労以上ある軍団からは1戦力が失われる。これも戦力撃破のVPに反映される。

ウェリントンを追いつめようとしていたナポレオンやグルーシーの軍団は全て、これまでの度重なる戦闘と無理な移動で疲労4まで来ている。雨の中での移動や戦闘の強行は戦力、すなわちVPの致命的な損失を意味していた。フランス軍の足がとまる。

反対にイギリス軍は、敵に先んじて特別な移動の可能な“対応移動”カードの使用など巧みな退避行動と部隊の集結を見せる。フランス軍に追撃する力はもう残されていなかった。

美しき連携を前提にせず

結果は次のようになる。エリアのVPに関しては、同盟軍の持つ10ポイントからフランス軍の占領したブリュッセル2、ワーテルロー1、ハレ1の4ポイントをマイナスして、同盟軍サイドに6ポイント。同盟軍には、第7ターンまでフランス軍による同盟軍VPエリア2カ所以上の占領を阻止したので7ポイントが加わる。同盟軍はエリアで計13 VP。

敵戦力撃破数はフランス軍10、同盟軍6と、フランス軍サイドに4 VP。

総合すると同盟軍サイドに9 VPでフランス軍の敗北が決定した。

史実の結果を本作に当てはめてみると、エリアのVPは、フランス軍占領がリニー、カトル・ブラの2ポイントで同盟軍サイドに8ポイント。同盟軍VPエリア2カ所以上の占領阻止で同盟軍に6ポイントが加わる。損害は同盟軍の方が5000名程多いので、フランス軍サイドに1ポイント。総合すると同盟軍サイドに13 VPのフランス軍敗北になる。

史実よりややマシとはいえ、勝利とはほど遠いフランス軍の敗北だった。

原因ははっきりしている。まず、当初の構想が全く徹底できていない。イギリス軍を叩くと決めておきながら、プロイセン軍手薄と見て、これを攻撃。その結果、同盟軍の連携を混乱させるどころか良好にしてしまう。敵の判断を狂わそうとして、自ら罠にかかる失態を演ずる結果となった。

プロイセン軍が手薄なら、同軍のイギリス軍支援は困難になるのだから、よけいにイギリス軍に焦点を絞って叩くべきなのである。

もう1つは決断のまずさが挙げられる。ナポレオンが2個軍団を率いて最初にワーテルローに突入した時、移動と戦闘のアクションを選んで即座に攻撃すべきだった。次のターン“皇帝の体調不良”が発生したが、ここもひるまず攻撃すべきだ。どちらの場合も戦闘時に不利な修整はつくが、互角に戦える可能性が高かった。

翻って、本作歴戦のお二方が担当した同盟軍間の連携と対応は、当然のように的確で混乱の気配も感じられなかった。

自ずと同盟軍間の連携に関する課題が、ワーテルローを扱う作品であまり表現されてこなかったわけにも思い当たる。

史実の同盟軍間の連携は迅速でもなく、充分でもない。しかし、プロイセン軍はイギリス軍に対して支援に駆けつけると約束し、イギリス軍もそれに応えてフランス軍の猛攻に耐えた。結果として連携はうまく運んだ。

結果としてうまくいった連携を、これまでの多くの作品では当たり前のことと受け取ってきたのだ。美しき連携を前提として作品を構築しているのだから、課題として表現されないのも頷ける。

だが、カトル・ブラとリニーの戦いの直前にあったウェリントンとブリュッヒャーの会見に関して、さまざまな議論があるように、2人の指揮官の連携には微妙な影がある。フランス軍内部の問題ではあるが、ナポレオンとネイの間で彷徨したデルロンの例もある。

そんな組織の連携に関する課題に、改めてスポットを当てたのが本作『ナポレオン1815: ワーテルローの戦い』の3人戦といえる。試してみれば、いつだって歴史に影響してきたヒューマンファクターの面白さにも気づくだろう。

(終)

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