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『ベルリン陥落』ルール解説

いよいよ発売になるミニボックス・シリーズ最新作『ベルリン陥落』。本作はスペインからの投稿で、いわゆるウォーゲームとは少し毛色が異なるために扱いかねていたのですが、テストプレイをしてみると評価は一変。対戦ゲームとしても面白く、作戦次元・戦術次元で頭を使うウォーゲームとしても優れており、即発売決定となりました。ルールブックは商品ページに公開していますが、どんなゲームなのか、簡単に紹介したいと思います。

ゲームの目的

1945年4月21日から12日=12ターンが終わった時点で、ベルリン中央(ミッテ)の真ん中、国会議事堂を占めているソ連軍ユニット数がドイツ軍ユニット数の2倍以上ならソ連軍プレイヤーが勝利します。この条件が達成できなければドイツ軍プレイヤーの勝利です。

コンポーネント

A5サイズの箱の中には、

A2サイズのマップと、

それらしく部隊名が入っていますがゲームには関係ありません。ヒストリカル・インタレストです

15ミリ角のカウンター99個と、

ポーカー・サイズのカード50枚(ドイツ軍25枚・ソ連軍25枚)が入っています。この他に命令シートと10面体ダイス1個も用意されています。なお、命令シートに命令を記入するための筆記用具が必要です。

ゲームの進め方

毎ターン、両プレイヤーは自分のデッキからカードを1枚引いて手札に加え、ソ連軍プレイヤーが命令を記入したら、ドイツ軍・ソ連軍の順番で移動を行います。その後、両軍部隊が存在する各ゾーンで戦闘を解決します。

第1ターンのソ連軍の命令記入は、ドイツ軍が初期配置する前に行わなければなりません。

四方八方からソ連軍がベルリン中心部を目指して進撃します。刺さる人には刺さる光景です

図のドイツ軍ユニットは初期配置が決まっているもの。これとは別に国防軍(灰色)11個と親衛隊(黒色)2個をゾーン6から18に自由に配置できます。この点を踏まえて、ソ連軍プレイヤーは命令を出さなければなりません。

各ゾーンの丸つき数字はスタック制限で、各軍はミッテ内は各4個、それ以外のゾーンは5-8個のユニットを置くことができます。各ゾーンの戦闘は戦力が多い側が勝利します。各ユニットは1戦力を持ちますが、親衛隊のみ2戦力を持つので、スタック制限がシビアなゾーンほど親衛隊は真価を発揮することになります。最終局面まで温存しましょう。

ソ連軍は基本的に毎ターン3つの命令を出すことができます。1つの命令で、1ゾーンにいる任意の数のユニットを隣接する1ゾーンへ移動させることができます。例えばエリア(ソ連軍のみ進入可能な外周は「エリア」と呼びます)Eの4ユニットをまとめてゾーン13へ移動させれば1命令を、2ユニットずつゾーン12と13へ移動させれば2命令を使うことになります。

ここでは、エリアAの5ユニットをゾーン15へ、エリアBの5ユニットをゾーン16へ、そしてエリアDの4ユニットをゾーン12へ移動する命令を出したとしましょう。ソ連軍プレイヤーは命令シートに次のように記入します。

カードの効果や手札を捨てることで命令数を増やせるため、命令欄は全部で5つあります。このオプションは第1ターンから使えるので、3つしか命令を出せないと高をくくるドイツ軍プレイヤーを驚かせることもできます。

ソ連軍プレイヤーが第1ターンの命令を記入した後で、ドイツ軍プレイヤーがセットアップを仕上げます。以上のことを踏まえて、あなたならどのようにソ連軍を待ち伏せるでしょうか? ゾーン12, 13, 14と17, 18は2つのエリアから進入可能でソ連軍ユニットが集まりやすい場所です。ゾーン15と16は1つのエリアからだけなので安全。そしてここに6戦力を置けば(相手は5戦力しか置けないので)「絶対に」戦闘に勝利できます。そこでこんな配置をしてみました。

この展開だとドイツ軍「してやったり」です(もちろん、この時点ではソ連軍の命令はわからないわけですが)

カードのことは省略して、ゲームのメカニズムの説明を続けましょう。移動はドイツ軍・ソ連軍の順番で行います。ドイツ軍は計画なしで4つの命令を出せますが、ソ連軍がミッテに近づくごとに出せる命令数が減っていきます。序盤は散らばっている部隊を退却させ、戦力の集中に奔走することになるでしょう。

移動にはいくつか制限がありますが、ドイツ軍にとって重要なのは、ミッテ中心部に向かう「撤退」は、1ターンに2つの命令しか出せないということです。勝手に撤退すると総統に叱られてしまうのです。敵が来るかどうかはわかりませんが、来ても負けることはないゾーン15と16はどっしり構え、ゾーン12と18のユニットを撤退させることにしましょう。それぞれゾーン6と11のユニットと合流します。命令数はあと2つ残っていますが、移動のしようがありません。

ドイツ軍が前進することなんてあり得ない? それが大いにあるのです。交戦ゾーン(両軍のユニットが存在するゾーン)からは前進できないため、移動命令を出されたソ連軍の大部隊がいるゾーンにドイツ軍の1ユニットが飛び込むだけで、その前進を妨害できるのです。ソ連軍の命令数を浪費させるこの「嫌がらせ攻撃」は地味に効きますよ。

命令を反映すると次のようになります。

北方のソ連軍が拘束され、ひどい目に遭うのはよくあること。注意しましょう

試しに戦闘を解決してみましょう。ゾーン15のソ連軍は5戦力、ドイツ軍は6戦力(親衛隊2戦力+国防軍4戦力)です。ソ連軍戦力<ドイツ軍戦力なのでソ連軍は1ユニットを失います。交戦ゾーンは毎ターン、戦闘を解決しなければならないので、このまま放置するとゾーン15のソ連軍部隊はいずれ全滅することになります(!!)。

ゾーン16も同じ条件ですが、ソ連軍プレイヤーは手札からカードを使用することにしました。

スターリングラードの英雄チュイコフさん!!

ソ連軍の戦力に1を加えるので6戦力対6戦力、この場合は両軍とも1ユニットずつを失います。敵に一矢を報いたものの、厳しい状況が続くのには変わりありません。次のターン、ゾーン15と16のソ連軍ユニットは移動できないので、南の4グループが行動することになります。ということは、ドイツ軍としても対応が容易となり、特にゾーン12のソ連軍ユニットは前述の「嫌がらせ攻撃」で足止めできます(しますよね? 私ならします)。そして外縁にいる3個のうち2個に移動命令を出して撤退させ、戦力の温存を図るのです。

ソ連軍にとって12ターンは長いようで短い。移動を阻止されると余計に短くなります。何ターンかけてどこまで前進するか、敵の妨害を排除するためにどのようなルートを取るのか、を計画的に決めておく必要があるでしょう。ドイツ軍にしても、調子に乗って前に出すぎると、弱い戦線を突破されるリスクもあります。そして敵を拘束するはずの反撃部隊が、逆に拘束されて火消し役を演じられない、なんてことになりかねません。

プレイ時間は長くても90分間(テストプレイの結果に基づきます)。何度もプレイして、様々な作戦を試していただければと思います。

次回は戦術面=カードの使い方について説明します。

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コメント一覧 (2件)

    • 『2 de Mayo』は未プレイですが、本作、カードの使い方と駆け引きが楽しい作品に仕上がっておりますので、是非!! よろしくお願いいたします。

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