MENU

軍旗なき兵団

以下は『BANZAIまがじん』第6号に掲載された付録ゲーム『軍旗なき兵団: 張家口脱出作戦』のルールです。

 

1.0 はじめに

このゲームは1945年8月19日から21日までの丸一陣地の戦いをテーマにしています。独立混成第二旅団は張家口の邦人を安全に脱出させるため、ソ連・外蒙軍の武装解除の要求に応じず、張家口に通じる街道上の丸一陣地を守り抜いたのでした。

プレイヤーは日本軍を指揮します。ソ連・外蒙軍(以下、ソ連軍と表記)はゲーム・システムによって動きます。

 

2.0 コンポーネント

2.1 マップ
マップは街道を境に右地区と左地区に分かれています。また各地区には複数のスペース(円)があり、スペース同士はオレンジ色の線(ルート)で結ばれています。

2.2 駒
駒を切り出す、あるいはコピーして厚紙に貼ってください。日本軍の駒(部隊を表すので「ユニット」と呼びます)に書かれた数字は「攻撃力-防御力」です(九〇式機動野砲は例外。後で説明します)。ソ連軍の駒(部隊ではなく活動内容を表す「チット」)は全部で5個あります。

2.3 マーカー
ソ連軍の位置を表すマーカー3つとターン・マーカー1つが必要です。『300: ギリシア・ペルシア戦争』のペルシア軍ユニットとマーカーを流用すると良いでしょう。ソ連軍のマーカーは右地区、左地区で1個ずつ、チスリヤエフ隊で1個の計3個になります。

2.4 ダイス
6面体ダイス1個以上を用意してください。

2.5 ソ連軍作戦プール
紙コップなど不透明な容器を1つ用意してください。ソ連軍チットを入れるために使用します。

 

3.0 ゲームの準備

3.1 日本軍の初期配置
九〇式機動野砲を旅団砲兵隊スペースに置きます。大野中隊(独混八旅団)を旅団司令部スペースに置きます。残る7個のユニットを好きなスペースに置きます。1つのスペースには2個までのユニットを置けます。

3.2 ソ連軍の初期配置
マーカー3個はマップ外に保管しておきます。全てのチットをプールに入れます。

3.3 マーカーの配置
ターン・マーカーを「8月19日」のマスに置きます。

 

4.0 勝利条件

4.1 自動的敗北
ソ連軍マーカーが旅団司令部に進入すると、日本軍の敗北で直ちにゲームは終了します。

4.2 ゲーム終了時の勝敗判定
8月21日が終了した時点で旅団司令部に隣接する3つのスペース全てにソ連軍マーカーが存在しなければ日本軍の勝利です。1つのスペースにソ連軍マーカーがいれば引き分け、2つ以上なら日本軍の敗北です。

 

5.0 ゲームの手順

毎日(ターン)、以下の手順を行います。

  1. 日本軍のアクション: プレイヤーは停戦要請(パス)、移動、圧迫、砲撃のいずれか1つを行います。
  2. ソ連軍のアクション: プールからランダムにチットを1枚引き、その指示に従います。

プールから最後のソ連軍チットが引かれ、その処理が終わるとターンが終了します。または停戦交渉が実現するとそのターンが終了します。引かれたチット全てをプールに戻し、マーカーを次の日に進めて日本軍のアクションを行います。21日が終了したら4.0に従って勝敗を決めます。

 

6.0 日本軍のアクション

6.1 停戦要請
プレイヤーはソ連軍に邦人脱出を認めさせるための停戦を持ちかけることができます。プレイとしては事実上の「パス」ですが、次のソ連軍のアクションでイベント・チットを引き、その結果が「停戦交渉」なら直ちにこのターンが終了します。停戦交渉は日本軍が先に持ちかけ、イベントでソ連軍がそれに応じた時だけ行われます。ソ連軍のイベントで「停戦交渉」が出たからと言って、日本軍が停戦要請をしても停戦にはなりません。

6.2 移動
ユニット1個を選んで隣のスペースへ移動させることができます。

1つのスペースに置けるユニットの数に制限はありませんが、戦闘を行えるユニットの数には制限があります(詳細は後述)。

6.3 圧迫
ヒストリカル・ノート: 通常なら「反撃」や「攻撃」とするところですが、建前上、戦闘行為は禁じられていたために進出してきた敵を「圧迫する」という命令が用いられました。

プレイヤーはユニット1個を選び、隣接するソ連軍マーカーに対して圧迫を試みることができます。ダイスを1個振り、攻撃力以下の目が出れば成功です。ソ連軍のマーカーを1スペース後退させて、そのスペースに圧迫した日本軍ユニットを置きます。「6」が出ると反撃に遭って部隊は壊滅、日本軍ユニットをゲームから取り除きます。それ以外の目は何も起こりません。

後退先の選択: ソ連軍マーカーの後退先が複数ある場合(第二大隊本部から後退する場合など)、日本軍ユニットがいないスペースへ後退します。両方とも日本軍ユニットがいなければ、プレイヤーが好きなスペースに後退させます。

ソ連軍マーカーの除去: 後退できるスペースがない時(ソ連軍マーカーが最初に進入したスペースで圧迫を受けた時)、ソ連軍マーカーを一時的に取り除きます。その地区で突撃が行われると、再びソ連軍マーカーを該当するスペースに置きます。

6.4 砲撃
ゲーム中1回だけ九〇式野砲による砲撃を行います。プレイヤーは九〇式野砲ユニットを好きなスペースに置きます。このターンが終わるまで、そのスペースを攻撃する日本軍ユニットは攻撃力が1大きくなります。またそのスペースで防御する日本軍ユニットは防御力が1大きくなります。ターン終了時に九〇式野砲ユニットをゲームから取り除きます(砲の位置が判明し、対砲兵射撃で破壊されるためです)。

砲撃する前にソ連軍マーカーが旅団砲兵隊スペースに達すると、九〇式野砲ユニットを直ちに取り除きます。

 

7.0 ソ連軍のアクション

7.1 砲撃(BARRAGE)
ダイスを1個振り、砲撃されるスペースを決めます(1-3なら左地区の3スペースのいずれか、4-6なら右地区の3スペースのいずれか)。ターンが終わるまで砲撃チットをそのスペースに置きます。砲撃チットが置かれているスペースで日本軍が防御する時、ダイスの目に+1します。また砲撃チットが置かれているスペースを日本軍が攻撃する時、ダイスの目に+1します。

7.2 突撃: 右地区(ASSAULT: R)
右地区で突撃が行われます。初めてこのチットが引かれた時はダイスを1個振り、最前線に2つあるスペースのどちらに突撃が行われるかを決めます。そのスペースに日本軍ユニットがいなければ、ソ連軍マーカーを前進させます。日本軍ユニットがいれば防御を行います。ダイスを1個振り防御力以下の目が出れば成功です。成功した場合はソ連軍マーカーは前進できません。失敗した場合は、日本軍ユニットを隣接するスペース(旅団司令部に近づくスペース)へ退却させ、そのスペースにソ連軍マーカーを前進させます。この時「6」の目が出ると部隊は大損害を受けたものとして日本軍ユニットを取り除きます。

既にソ連軍マーカーがスペース上にいる時は、旅団司令部に近づくスペースに対して突撃を行います。

複数ユニットの防御: 日本軍ユニットが複数いる時、最大2個までが防御を行えます。最初のダイスを振る前に、プレイヤーは何個で防御するのかを決めなければなりません。1個でも防御に成功すればソ連軍マーカーの前進を阻止できます。全ての防御が失敗しても、まだ日本軍ユニットが残っている場合、それらの日本軍ユニットは退却しなければなりません。

旅団司令部での防御: ソ連軍が外長城越しに旅団司令部に突撃する場合、日本軍ユニットの防御力に+1します。

7.3 突撃: 左地区(ASSAULT: L)
7.2と同じ手順を左地区で行います。

7.4 イベント(EVENT)
イベント・チットを引いた時はダイスを1個振り、イベント表で結果を判定します。

  1. 停戦交渉: 直前の日本軍アクションで停戦要請が行われていた時に限り、停戦が成立します。このターンは直ちに終了します。
  2. 右地区突撃/左地区突撃: 7.2または7.3と同じです。
  3. 砲撃: さらにダイスを1個振り、砲撃目標になるスペースを決めます。砲撃の内容は7.1と同じです。
  4. チスリヤエフ隊: 迂回攻撃が行われます。3つ目のソ連軍マーカーを左地区のチスリヤエフ隊の矢印に従って前進させます。このイベントが発生する限り、何度でも迂回攻撃が行われます。