1.0 はじめに
1945年2月5日からのアルンスヴァルデをめぐる戦闘を再現する1人用(ソリティア)ゲームです。プレイヤーはドイツ軍の第503SS重戦車大隊のケーニヒスティーガー7両を指揮し、アルンスヴァルデに取り残された避難民の脱出と、自らの撤退の完了を目指します。
ゲーム・スケール: 1ターンは1日を表し、第11SS装甲擲弾兵師団と総統護衛師団がソ連軍の包囲を突破する直前の2月16日まで戦います。ティーガーIIは1駒1両です。避難民は1駒約500人です(アルンスヴァルデには当時、5,000人が取り残されていましたが、ゲームが扱う期間中に全員が脱出するのは困難でした)。マップ上の18mmが実際の約1kmに相当します。
2.0 コンポーネント
ハガキの地図が描かれた部分を「マップ」と呼びます。マップにはアルンスヴァルデ守備隊の士気値を記録するための「守備隊士気トラック」も印刷されています。
駒11個を切り離す、または何らかの方法で自作してください。駒の内訳は以下のとおりです:
- SS第503重戦車大隊所属ティーガーII x7
- 避難民マーカー x3
- 守備隊士気マーカー(守備隊指揮官ハンス・フォークト少将)
上記の他、トランプ1セット(ジョーカー2枚を含む)が必要になります。サイコロは使用しません。
3.0 ゲームの準備
3.1 アルンスヴァルデ防衛準備
- ティーガーII 7両(1駒が1両を表すので、このように表記します)を北部、南部、または中央広場に置きます。
- 避難民マーカー3つ全てを中央広場に配置します。
- 守備隊士気マーカーを士気レベル・トラックの5(難易度: 低)、4(難易度: 中)、3(難易度: 高)のいずれかに置きます。
3.2 ソ連軍の攻勢準備
- スートがハートの13枚をよくシャッフルし、裏面のままアルンスヴァルデの南部と北部に1枚ずつ配置します。残り13枚は山にしてテーブルの上に置きます。この山を「ソ連軍デッキ」と呼びます。
- 残りのカード全てをシャッフルし、裏面を上にして山にします。この山を「判定カード・デッキ」と呼びます。
判定カード・デッキのカードがなくなったら、捨て札をシャッフルしてデッキを作り直します。その際、ソ連軍デッキのカード(スートがハートのカード)を判定カード・デッキに含めないように注意してください。
手札: プレイヤーはゲーム中に手札を得ることがあります。判定カード・デッキからカードを引く代わりに任意の手札を使用しても構いません。手札の使用は任意であり、ゲームが終わるまでに使い切る必要はありません。
4.0 勝利条件
SS第503重戦車大隊長のプレイヤーには、アルンスヴァルデから北に向けてのルートを確保して第11SS装甲擲弾兵師団「ノルトラント」の救援を待ちつつ、可能な限り長くアルンスヴァルデを防衛することが求められます。ゲームが終了した時点でこの目的が達成されたかどうかを判定します。
4.1 ゲームの終了
ゲームは、(1)ソ連軍デッキ最後のカードをプレイしたターンが終わった、(2)守備隊が投降した瞬間、または(3)全てのティーガーIIがアルンスヴァルデ(北部、南部、中央広場の全て)からいなくなった瞬間、のいずれか早いタイミングで終了します。(2)または(3)はプレイヤーの敗北です。
注意: 守備隊の士気がゼロになっても守備隊は投降しません。守備隊は投降判定の結果でのみ投降します。なお、士気値は0未満になりません。
- 守備隊の投降判定: ゲーム中、様々な場面で守備隊の投降判定が求められます。その場合、判定カード・デッキから1枚引きます。この投降判定は守備隊の士気値に関係なく行いますが、守備隊が投降する可能性があるのは士気値が2以下の時だけです。
- 投降判定で引いたカードのスートが守備隊士気マーカーが置かれているボックスに記されているスートに合致すると守備隊は投降し、直ちにゲームは終了します。
- 判定カードがジョーカーの場合、直ちに士気レベルを1下げて再判定を行います。
- 守備隊が投降しなくても判定カードのスートがダイヤなら士気レベルが1低下します。
4.2 勝利判定
ゲーム終了まで守備隊が降伏せず、ティーガーIIがアルンスヴァルデに残っていれば外部からの救援判定を行います。
- 北部にソ連軍カードが1枚もなければ救援は自動的に成功し、得点による勝利レベル判定(下記参照)を行います。
- 北部にソ連軍カードが1枚以上あれば、1枚につき判定カードを1枚引きます。
- 引いたカードのスートが黒なら、そのソ連軍カードを取り除きます。
- 引いたカードのスートが赤またはジョーカーなら、そのソ連軍カードは取り除けません。
- 北部から全てのソ連軍カードを取り除けば救援は成功し、得点による勝利レベル判定(下記参照)を行います。1枚でもソ連軍カードが残れば救援は失敗、プレイヤーの決定敵敗北になります。
得点による勝利レベル判定: ゲーム中に脱出した避難民駒1つ(約500人を表します)につき3点、ティーガーII 1両につき1点を得ます。この合計点で勝利レベルを判定します。
- 15点以上: 東部戦線の奇跡的勝利(ゾンネンヴェンデ作戦が少しだけ史実よりうまくいくかもしれません)
- 8-14点: 滅びの美学的勝利(SS第503重戦車大隊の奮戦により多数の住民が避難できました)
- 1-7点: 神々の黄昏的勝利(史実の結果、SS第503重戦車大隊はその後も転戦を続けます)
5.0 ゲームの手順
ゲームは「ターン」を繰り返すことで進行します。各ターンは以下の手順(フェイズ)で構成されます。
- ソ連軍展開フェイズ(6.0)
- ドイツ軍行動フェイズ(7.0)
- ソ連軍攻撃フェイズ(8.0)
ソ連軍攻撃フェイズが終わると1ターンが終了し、新たなターンのティーガーII展開フェイズを開始します。
6.0 ソ連軍展開フェイズ
ソ連軍デッキ一番上のカードを表にします。
- 2-10のカードなら、数字と同じ戦力を持つソ連軍部隊を表します。北部または南部に置きます。カードが置かれていなければそのエリアに置きます。カードが置かれている場合、より少ないほうに置きます。同数なら南部に置きます。既にカードが置かれている場合、その上に重ねて置きます。
- エースなら、ドイツ兵捕虜3名がソ連軍の降伏勧告文書を持ってアルンスヴァルデにやって来ます。守備隊の降伏判定(4.1)を行います。
- ハートの絵札(J, Q, K)なら、このターンのソ連軍攻撃フェイズで総攻撃が行われます。カードはリマインダーとしてテーブルの上に出し、このターンが終了したら捨てます。
7.0 ドイツ軍行動フェイズ
プレイヤーはこのフェイズ中に2回の行動を取れます。行動には以下の種類があります。2回とも同じ行動を取っても、異なる行動でも構いません。1回ずつ順番に解決します。
注意: 条件によって選択できない行動があります。
7.1 移動
北部、南部、中央広場のいずれか1つを選び、そこに置かれている全てまたは一部のティーガーIIを別の1エリアへ移動させます。1回の移動で複数のエリアから、または複数のエリアへ移動させることはできません。
7.2 脱出
北部にソ連軍カードがない時のみ、この行動を選択できます。中央広場の避難民、またはティーガーIIのどちらかをアルンスヴァルデから脱出させます。1回の行動で避難民とティーガーII両方を脱出させることはできません。避難民を脱出させる場合、1回の行動でマーカー1つが脱出できます。ティーガーIIは何両でも脱出できます。脱出したティーガーIIはアルンスヴァルデに戻れません。
重要: この行動は1ターンに1回しか取れません。
7.3 反撃
北部または南部のどちらかで、ティーガーIIによるソ連軍に対する反撃を行います。ソ連軍カードがないエリアでは反撃は行えません。またティーガーIIがいないエリアでは反撃を行えません。
- ソ連軍カードが複数置かれている場合、どのカードに対して反撃しても構いませんが、1枚だけを目標にできます。また、表面のカードがある限り、裏面のカードを目標にできません。裏面のカードしかなければ、それを目標に選んで表面にします。
北部または南部の裏面になっているカードを表面にした時、エースまたは絵札(J, Q, K)は10戦力のソ連軍部隊と見なします。
- 判定デッキ一番上のカードを表面にします。反撃を行うティーガーII 1両ずつカードを1枚引きます。プレイヤーの判断で、反撃を途中で中止できます。
- 2-10なら、その値がティーガーIIの戦力になります。ソ連軍の戦力以上ならソ連軍カードを捨てて反撃終了です。ソ連軍の戦力未満なら反撃失敗です。スートがダイヤなら、反撃を行ったティーガーIIを野戦整備エリアに移します。(1)反撃したティーガーIIを野戦整備エリアに移して反撃を終了する、または(2)別のティーガーII(があれば、それ)で反撃を続ける、のどちらかを選択します(下記「複数のティーガーIIによる反撃」参照)。
- エースは1戦力と数えます。ただし下記「複数のティーガーIIによる反撃」を参照してください。
- スートがダイヤの絵札なら、弾薬不足または燃料不足のため反撃は中止されます。このティーガーIIの反撃は無視し、ティーガーIIを直ちに中央広場に移します。
- スートが黒の絵札なら、プレイヤーは次のいずれか1つを選択します:
- 修理中のティーガーII 1両を修理する。直ちに中央エリアに置き、代わりのカードを判定デッキから引きます。
- このターン中に追加で1回行動する。このカードをリマインダーとして手元に残し、代わりのカードを判定デッキから引きます。例外: ソ連軍の通常攻撃または総攻撃に対して行われた反撃の場合、スートが黒の絵札はダイヤの絵札同様に扱います。
- 判定カードを1枚引いて表にして、それを手札にします。その後、代わりのカードを判定デッキから引きます。
- ジョーカーなら、直ちに守備隊の降伏判定(4.1)を行い、その後(守備隊が投稿しなければ)代わりのカードを判定デッキから引きます。
- 複数のティーガーIIによる反撃: 複数のティーガーIIが反撃する場合でも1両ずつ判定します。最初の1両でソ連軍カードを除去できなかった場合、次の1両で反撃を継続できます。それでも駄目ならさらに次の1両で反撃を行えます。反撃結果は1両ずつ、つまりカード1枚ずつ判定しますが、数字カードのペアは、その値を合計してソ連軍カードの戦力と比較します。例外: エースのペアは最強で、必ずソ連軍カードに勝利します(ただし、ダイヤのエースをひいたティーガーIIは損傷します。下記参照)。
- 以下のいずれかに該当すると反撃を行ったティーガーIIが損傷し、野戦修理工場に置かれます。
- 引いたのがダイヤ数字カードで、そのカードだけではソ連軍カードを除去できなかったティーガーII。
- 反撃が失敗に終わった(ソ連軍カードを除去できなかった)場合、上記に加えてティーガーII 1両が損傷します。
- 反撃の例: 第1ターン、プレイヤーは北部に置かれている裏面のソ連軍カードに対して反撃を行うことにしました。北部には3両のティーガーIIが置かれています。ソ連軍カードを表にしたらエースでした──この場合、10戦力と見なします。
- 1両目が反撃します。最初の判定カードは「ダイヤの9」でした。ソ連軍の戦力未満なので反撃失敗です。プレイヤーが反撃を諦める場合、ティーガーII 1両を野戦整備エリアに置きます。ソ連軍カードはそのままです。
- 2両目で反撃を続けることにしました。今度のカードは「ダイヤのK」でした。このティーガーIIを直ちに中央広場に移します。
- プレイヤーは最後のティーガーで反撃を続けることにしました。判定カードは「スペードのJ」でした。プレイヤーは判定カード・デッキから1枚引いて手札にすることにしました。このカードは「ジョーカー」でした。ジョーカーを手札にしても使い途はありませんが、判定カード・デッキからジョーカーが1枚なくなったので投降判定を行うリスクが軽減されます。あらためて判定カードを1枚引きました。
- 「スペードの9」を引いたとしたら、9のペアが完成するため18になり、反撃は成功です。ソ連軍カードを取り除きます。しかし最初に「ダイヤの9」を引いてティーガーIIは損傷し、野戦整備エリアに置かれます。
- 「ダイヤの8」を引いたとしたら、反撃は失敗に終わります。最初のティーガーIIとこのティーガーIIはどちらもソ連軍カードの戦力未満であり、かつダイヤのカードを引いたので、2両とも野戦整備エリアに置きます。「クラブの8」でも反撃そのものが失敗に終わるので、やはり2両とも野戦整備エリアに置きます。
- スートが赤の絵札を引いたら、このティーガーIIを中央広場に置きます。反撃は失敗に終わり、最初のティーガーIIだけが野戦整備エリアに置かれます。スートが黒の絵札を引いたら、再び(1)修理、(2)追加行動、(3)手札を得る、のいずれかを選択してから判定カードをあらためて引きます。
判定カード | 反撃結果 | ティーガーIIの損傷 |
---|---|---|
数字カード(Aは1と見なす) | 数字カード≧ソ連軍の戦力: ソ連軍撃破 数字カード<ソ連軍の戦力: 反撃失敗 ※ペアなら数字を足せる。 | ♦で反撃失敗なら損傷。 上記に加え、反撃に失敗すると1両が損傷。 |
♦の絵札 | 反撃中止 | 損傷なし、ティーガーIIを中央広場へ移動。 |
♠♣の絵札 | (1)ティーガーIIを修理、(2)追加手番、(3)手札を獲得、のいずれかを選択して再判定。 ※ソ連軍の攻撃・総攻撃に対する反撃時は「反撃中止」 | – |
ジョーカー | 守備隊の投降判定後に再判定 | – |
7.4 修理
判定カード・デッキ一番上のカードを引きます。
- 黒のスートを引けば野戦整備エリアのティーガーII 1両の修理が完成し、中央広場に置きます。
- ダイヤの数字カードなら何も起こりません。
- ダイヤの絵札なら野戦整備エリアのティーガーII 1両を共食い整備に使われます。1両をゲームから取り除きます。
- ジョーカーを引いたら守備隊の投降判定を行います(4.1) 。代わりのカードは引きません。
8.0 ソ連軍攻撃フェイズ
8.1 通常の攻撃
総攻撃が行われない各ターンのソ連軍攻撃フェイズで、アルンスヴァルデの南部・北部で表面になっているソ連軍カードによる攻撃を行います。複数のカードが置かれていても、一番上の1枚だけが攻撃を行います。通常の攻撃では、裏面のカードは攻撃を行いません。南部と北部でそれぞれ最大で1回ずつ攻撃を行います。南部と北部、どちらから攻撃を解決しても構いません。
ティーガーIIがいるエリアでは、ソ連軍の攻撃に対して反撃(7.3)で応じることができます。反撃しないのであれば判定デッキ一番上のカードを表面にします。重要: 反撃が行われた場合、守備隊の士気値は低下しません。ただし反撃したエリアからティーガーIIが1両もいなくなると守備隊の士気値が1低下します。
- 2-10なら、その値がソ連軍の戦力以下なら攻撃成功で、守備隊の士気が1レベル低下します。士気値が0ならそのままです。結果がソ連軍の戦力を上回ると攻撃は撃退され、ソ連軍カードをゲームから取り除きます。
- エースは「1」と数え、上記同様に判定します。さらにスートがダイヤなら、守備隊の投降判定(4.1)を行います。
- スートがダイヤの絵札なら、砲兵射撃が野戦整備エリアに命中し、修理中のティーガーII 1両が完全に破壊されます、直ちにゲームから取り除きます(なければ無視)。その後、代わりのカードを判定デッキから引きます。
- スートが黒の絵札なら攻撃は不発で何も起こりません。
- ジョーカーなら、直ちに守備隊の降伏判定(4.1)を行い、その後(守備隊が投降しなければ)代わりのカードを判定デッキから引きます。
判定カード | 攻撃結果 | ドイツ軍の損害 |
---|---|---|
数字カード(Aは1と見なす) | 数字カード≦ソ連軍の戦力: 攻撃成功 数字カード>ソ連軍の戦力: 攻撃失敗(ソ連軍カードを除去) | 守備隊の士気が1レベル低下 ♦のAなら投降判定を行う |
♦の絵札 | 野戦整備エリアのティーガーII 1両が破壊 再判定を行う | – |
♠♣の絵札 | 攻撃不発 | – |
ジョーカー | 守備隊の投降判定後に再判定 | – |
8.2 総攻撃
ソ連軍展開フェイズで引いたカードが絵札なら、通常の攻撃の代わりに総攻撃が行われます。通常の攻撃同様に解決しますが、全てのソ連軍カードで攻撃を行います。攻撃はカード1枚ずつ上から順番に解決します。また裏面のカードも表面にして攻撃を行います。重要: 反撃が行われた場合、そのソ連軍カートによって守備隊の士気値が下がることはありません。ただし反撃したエリアからティーガーIIが1両もいなくなると守備隊の士気値が自動的に1低下します。
総攻撃後に、北部と南部の両方にソ連軍カードが1枚以上残っていたら守備隊の投降判定(4.1)を行います。北部か南部、どちらかにソ連軍カードがなければ投降判定は行いません。
総攻撃の際、北部または南部の裏面になっているカードを表面にした時、絵札(J, Q, K)は取り除きます(総攻撃命令が重複して出されただけです)。エースなら、ドイツ兵捕虜3名がソ連軍の降伏勧告文書を持ってアルンスヴァルデにやって来ます。直ちに守備隊の降伏判定(4.1)を行います。