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“Big Boss” 中国の野望、果てしなく……
さて近未来の島嶼強襲上陸戦を抽象的ながらダイナミックに描いたTDTETSですが、近日出版されるMODERN WAR誌の付録ゲーム『Dragon and the Hermit Kingdom』(以下DATHK)は、TDTETSの開始時の状況設定となっている第二次朝鮮戦争が同じシステムで描かれるようです。類似テーマとしては既に同じMODERN WAR誌から出版された『DRIVE ON PYONGYANG』にて中国軍が同盟軍として北朝鮮に侵攻するという設定のシナリオがあります。DATHKはTDTETSと多少スケールが異なるようですが、同じ時間軸を共有するタイトルであり、このゲームの結果がTDTETSのOOBに反映されるのか? など興味があるところです。その他にも類似テーマなタイトルは、『レッド・ドラゴン・ライジング』(国際通信社)などが現在でも入手可能であり、いろいろな切り口/視点でこの”状況”を俯瞰してみるのも面白いのではないでしょうか。
ちなみにリアル世界では、海外のTDTETSのレビューで日米軍共同で年1回で数回行われていた机(PC?)上演習ヤマサクラとの類似性に言及するものがありました。ヤマサクラ演習は一応架空の国名を使いながらも実体は中国/北朝鮮/ロシアなどによる日本侵攻を想定した机上演習であり、題材的にTDTETSとピッタリです。過去行われている演習の詳細はほとんど明らかにされておらず、毎回演習時点の周辺情勢やテクノロジー、ドクトリンなどが反映されるため、一概に適用はできないものの、こうした演習のお題だけ落とし込んでどう展開するのか? などを検証できればゲームがまた面白いものとなるでしょう。特に同レビューでも触れられていた侵攻側の中国軍がタイトなプレイを要求される印象がありますので、中国軍の日本侵攻に呼応してロシア軍が北海道に侵攻を行う、というシチュエーションもゲームバランス的にも日本側に二正面作戦という、よりシビアな状況を提供できるためこれも面白いかもしれません。
現在のコンポーネントで可能な改造として以下のルールをお試しください。特に(18.3については)中国軍は対馬海峡突破のリスクがなくなり、海上移動距離がやや短くなること、日本側も想定上陸エリアが広がること、で双方に攻守プランの選択肢の幅が広がることでオリジナルよりも駆け引きが生じやすくなるでしょう。
14.0 サイバー戦: サイバー戦マーカーは毎ターン補充ポイントの消費なしに自動的に復活するものとします(つまり毎ターン全数使用可)。
15.1 空中突撃の手順: 空中突撃の判定時、EZOCでない場所に降下する場合、ダイスの目に+1します。
17.5 特殊任務: 特殊部隊の任務中、「戦略要地確保」任務=何もない所に降下する場合、降下地点が補給切れとなるヘクスの場合にのみVPが得られるものとします。
18.3 共産軍のセットアップ
J) 中国軍は第二次朝鮮戦争前中後の期間を巧みに使って”その後”に必要な艦隊/兵力を朝鮮半島東岸に秘密裏に送り込んでいました。中国側の艦隊/航空部隊登場可能ヘクスとして以下を追加します。
● 1013〜1015〜1216を結ぶヘクス列
18.5 勝利条件: 中国軍地上部隊の除去戦力(表面)の合計が100毎に-1VPとする。また同一ユニットが再建後に除去された場合も都度、除去戦力としてカウントします。
題材としてはセンセーショナルですが現代/近未来島嶼戦というテーマは希少であり、プレイを通して戦闘の全体像を俯瞰できる楽しみと同時に攻守それぞれに提示された課題に対する方策をアレコレ考える楽しさも楽しめますので、手に取るチャンスがあればぜひ!