202X: “龍”は本当に“太陽”を呑み込めるか!?

別冊&フォリオ金門島上陸作戦中国が来る: 人民解放軍三大上陸作戦

“The Way of the Dragon”龍の征く道

先述のとおり中国軍は侵攻側とはいえ、強襲上陸による島嶼戦ということでかなりリスキーな戦いを強いられることがおわかりになるかと思います。 つまり中国側の”リスクの源”とは、どこにどう部隊を展開させるか? よりも日本側の防衛/反撃のリソースである戦力そのものと言えます。 逆に言えば日本側戦力を無効化さえしてしまえば、要地占領はあとは時間との戦いだけとなることを意味します。

サドンデスがない全10ターンは侵攻時には短く、一旦要地を確保して持久に入ると長いものとなりますので、効率よく作戦を進めるために、ここはぜひセオリーどおりですが全期間を大きく敵戦力撃滅期と要地占領期に分けてタイムテーブルを計画してみましょう。

ヘリボーンによる距離無制限の移動を除けば陸上部隊の移動力は5 MPであり、道路使用が主となることから侵攻部隊の移動距離は5ヘクス/ターンと考えてよいでしょう。

上陸後に目標地点までの10ヘクス以内の移動と交戦(事前に航空攻撃で減殺した軽微な守備兵力との戦闘)を2回程度と想定して要地占領期は概ね4ターンとすれば、敵戦力撃滅期としては最長6ターン程度確保可能と思われます。

前提条件はこの他にも多数あるでしょうが、ひとまず以上を踏まえた上で、侵攻プランをいくつか検討してみます。

日本列島周辺は全て上陸可能ポイントとなるわけですが、接岸した中国艦隊が補給源となる必要があります。艦隊が3つしかなくVPは上陸地点の周辺のみで4〜6点の獲得が可能となるプランを渡海ルートと概ね以下辺りとなりそうです。

海上ルート

  • 東シナ海ルート: 海上移動距離が最短
  • 東シナ海〜日本海側ルート: 対馬海峡突破要、海上移動距離が長く敵による迎撃機会が多い、VP要地が太平洋側に集中しているので列島を北から南に横断要
  • 東シナ海〜太平洋側ルート: 海上移動距離が長く迎撃を受けやすい、VP要地へ直接上陸可能、米軍と交戦の可能性大
  • 瀬戸内海: 沿岸を通るため容易に迎撃を受けやすい、途中で太平洋/日本海側へ通り抜け可能、外洋へ出る3箇所を封鎖されると事実上移動不可

陸上侵攻ルート

  • 九州〜中国: VP要地だけで5 VP確保可、九州西岸から上陸すれば艦隊損失のリスクも低い
  • 中国〜中部: VP要地だけで5 VP確保可、付近への上陸は日本海/瀬戸内海/太平洋側からと選択肢が多い
  • 中部〜関東: VP要地だけで6 VP確保可、日本海/太平洋側から上陸可
  • 関東〜北海道: VP要地だけでは4 VPのみ
  • 北海道: 他のVP要地からはかなり離れており、単独では1 VPのみで第二次上陸や特殊部隊との併用必至

いずれのプランも中国軍は渡海して強襲上陸を行うことになるため、まず海上で空襲とASW、沿岸でSSM(射程3ヘクス)の迎撃を受けます。航空攻撃は回避しようがありませんがASWは海上移動の時間をできるだけ短くすること/分散しないことで損害リスクを下げることが、またSSM攻撃は不必要に沿岸に近づかないことで回避が可能です。それでも航空/SSM攻撃もそもそも日本側の航空/SSM戦力がなければ迎撃しようがなくなりますが、ASWは1/6の確率で長時間かけて率いていった大部隊が完全戦力での上陸が阻まれることになるため海上移動は侵攻側にとってかなりリスキーであるといわざるをえません。

また一旦上陸しても総戦力こそ優勢な中国軍ですが航空戦力を除けば海岸堡からは五月雨式(3ユニットずつ)にしか部隊を送り込めず、補給源となる海岸堡(艦隊)と補給線を守る戦力を内陸へ侵攻する部隊と別に確保しなければならないことを考慮すると意外にも中国軍の作戦的自由度は低いようです。

これらを踏まえて現実的な侵攻プランを絞るとすると、

  • 渡海距離が短い
  • 初期の中国軍による航空飽和攻撃からのダメージから十分回復していない
  • 中国軍も十分戦力が整っている

といった状況下で強襲上陸が行える九州西岸がやはり最有望と言えそうです。

九州西岸上陸の”直球”プランは、VP要地占領だけで最低限の勝利条件達成が可能な上、他のエリアで特殊部隊の急襲による追加点を匂わせることで日本側を撹乱できれば十分勝機があります。日本側はほぼ中国軍の動きに対応できますので、恐らくどこから上陸してもそれなりの反撃を受けるのは必至です。であるならば先制攻撃で大きなダメージを与えた後、再編/反撃の機会を与えずに陸上戦力を早期上陸させることは正攻法ながら勝利条件的にも理にかなっており、決して無思慮なプランではないといえます。

これ以外のプランはいずれも長距離の海上移動を伴うため、先の海上迎撃に加えて日本海側ルートならば勝利に直接寄与しない対馬海峡突破や太平洋側の米艦隊との交戦の可能性など、上陸前に大きなリスクを背負うことになります。

>> “Game of Death” 龍が動く!


1 2 3 4 5 6