202X: “龍”は本当に“太陽”を呑み込めるか!?

別冊&フォリオ金門島上陸作戦中国が来る: 人民解放軍三大上陸作戦

“Enter the Dragon”中国軍がやってくる!

TDTETSの状況設定やシステムについて簡単に触れておきましょう。

「第二次朝鮮戦争の勃発を機に朝鮮半島統一と併せて北朝鮮政府の排除により半島全域を中国領土化することを企図して介入した中国がその目論見をまんまと成功させ、その勢いで米へ宣戦、手始めに太平洋進出への第一の障害である日本の制圧と対米戦への最前線基地化を企図して……」という状況下、中国軍による日本への侵攻が開始される様子を1ヘクス58 kmで描かれたマップ上で、全10ターン(1〜3日/ターン)の期間というやや大きめのスケールで描きます。このため細長い日本列島の最幅部でも6ヘクス程度しかなく、陸戦を行うには狭い戦線正面となって翼方向にはあまり機動の余地がない戦場となっています。しかし、現代仮想戦らしく両軍には陸海空の各部隊及びミサイルや特殊/空挺部隊といった兵科があるため縦深方向や戦線を無視した敵後方への攻撃が可能であり、プレイもこうした戦闘が中心となることが予想されます。

対立構造は日中両軍だけでなく太平洋上から少数ながら強力米軍が最短4ターン目から日本側に立って参戦します。ゲーム・シークエンスは管理フェイズの後、中国>日本の順で航空/ミサイル戦→移動(陸/海)→戦闘→移動(海)→補充→補給確認を行います。 シークエンスもそうですがその他スタック、ZOCとルールについて見る限りオーソドックスなヘクスマップのウォーゲームと考えていただいて差し支えないでしょう。

とはいえ現代~近未来を想定したTDTETSには“それらしさ”を表現するための工夫がなされています。その一つが陸上戦闘以外の海/空/非正規戦といった戦闘のバラエティーの多さとなります。地上戦は戦力比で戦闘結果を求めるいわゆる“戦闘結果表”(以下CRT)方式ですが、その他の戦闘ではいずれも1または2D6で判定値以上/以下を出せばアクション成功といういわゆる“#出ろ”方式とするなど解決方法を併用しています。これに加えて各種修正内容に多様さを持たせることで、シンプルながら各戦闘のイメージがしやすいよう変化を持たせています。なお、CRTには彼我の損耗/退却を組み合わせた8種類の結果があり、総じて攻撃側損害のバリエーションが多く(つまり攻撃側が損耗しやすく)なっているのが特徴でデザイナーによる現代島嶼戦の様相のイメージを反映したのではないかと思われます。

さて肝心の勝利条件は、サドンデスはなく最終ターンに中国側のみが獲得する要地占領や米軍損害で得られたVPの多寡で判定され、5 VP以上あれば中国側勝利、それ以外で日本側勝利となります。 ちなみにVP対象地は12箇所あり、九州3、中国2、東海3、関東3、北海道1という内訳ですが、補給ルールと相まって全国への総花的侵攻が行いにくいため双方による上陸地点の決定/特定は駆け引きが生じるポイントとなります。 なお、VPはこの他にも中国軍特殊部隊の各種任務の成否によっても獲得できますが、特殊部隊の数は限られており、ゲーム中1回しか任務を行えないことと、任務に失敗すると逆にVPを失うこともあるため、かなりギャンブル的要素があるVP獲得方法となります。 話は逸れますが、特殊部隊は敵ユニットの撃破や連絡路遮断/封鎖といったVP獲得が可能な多様な任務の他、通常の戦闘ユニットとしても使用可能なため、特に中国側とってその運用はキモとなるでしょう。

以上を踏まえた上で中国軍側が勝利する状況は概ね以下の3つとなります。

  1. 要地確保のみによる勝利(日本側に侵攻パターンが読まれやすいが中国側も戦力集中がしやすい)
  2. 特殊部隊による電撃的勝利(ターゲットは絞られにくいもののかなりギャンブル的なのと占領地の持久が問題)
  3. 上2案の折衷案(1を主としながら2をフェイントや実際のワンポイントで使用)

恐らく現実的には3のように主攻は強襲上陸による要地確保の正攻法としつつ、助攻あるいは撹乱用途としてある程度の特殊部隊を拘置しておくという方法となるでしょう。

>> “Fist of Fury”太陽はどう迎え撃つ!?


1 2 3 4 5 6