201X: 中台もし戦わば

別冊&フォリオ金門島上陸作戦中国が来る: 人民解放軍三大上陸作戦


台湾北部に突如降下した空挺師団。ゲーム終盤に降下されると台湾軍の対応が困難になる

台湾防衛は可能か?

筆者の本業のひとつは監視カメラに関するもので、台湾の企業とも取り引きがある。数年前、「戦争になった際に情報が筒抜けになるので、シティ・サーベイランス(交差点や高速道路などの監視)では中国製品を排除している」と彼らから聞かされた。ただし民間ではそこまでシビアではなかったため、リーズナブルな中国製の家庭用監視カメラが普及しており、IDFのような状況が発生すると、様々な形で利用されるのかもしれない(大袈裟に聞こえるかもしれないが、実際、世界最大の監視カメラ・メーカーは中国共産党の持ち物である)。サイバー戦ルールで台湾がアドバンテージを取れない一因には、そうした事情も反映されているかもしれない。

実際の対戦で見てきたように、台湾軍が勝利するのはなかなか厳しいと思われる。市街地にユニットをばらまいて消耗戦を強いるのを基本戦術とし、ゲーム終盤に投入されるだろう空挺師団に対抗する予備を用意しておく。もっとも中国軍は、その予備が届かない場所に降下するだろうが。

ゲームとしては、「中国軍プレイヤーになるための勝利得点」を入札で決めるというのがベターだろうか。

シミュレーションとしては、航空作戦をはじめあっさりした処理に不満を感じる向きもあるだろうが、中国が本気で台湾に対して軍事的侵攻を企図した場合、どこを攻めて、どのような事態が発生するのかを思考するのに悪くはない。現代の市街戦がいかに困難なものか、ジョセフ・ミランダが『ウォー・イン・ザ・メガシティ』のデザイナーズ・ノートに述べていたが(本誌第2号参照)、台湾という先進国で行われる戦闘を扱う本作では、そのことも体感できるのである。


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