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海防艦〈伊王〉〈占守〉終戦後の戦い

8月15日に玉音放送が流れましたが、その後も戦闘、あるいは生きるための戦いは続いていました。そんな戦いのひとつ、海防艦による樺太避難民の緊急輸送をハガキゲームのかたちで再現しました。勝利条件は設けていないのでシミュレーターと呼ぶべきでしょうか。

画像は開発中のもので印刷物とは異なる場合があります。

樺太難民の輸送に当たったのは、ゲームで扱う第104戦隊の〈伊王〉〈占守〉だけではなく、多数の輸送船も参加しています。プレイヤーは海防艦の1隻を率い、司令部(佐世保)への帰還が命じられる22日まで、独自の判断で避難民救助に当たります。既に洋上への出撃は禁じられていたため、これは命令ではなく、樺太の海軍武官府からの要請でした。「命令ではない。だが、助けに行ってほしい」〈伊王〉艦長のこの言葉に、乗組員に否はありませんでした。詳しくはこちらをぜひ。

ルールは簡単。1日1往復、最長5日5往復できます。出港せず、情報収集に努めると(ここはいかにもゲーム的な処理ですが)ソ連軍の侵攻に関する情報を入手できるかもしれません。出港するなら往路でイベント判定を行い、何もなければ大泊に到着。好きなだけ避難民を乗せて稚内に向かいます。復路でもイベント判定。

海防艦は全長100 mにも満たない小さな艦ですが、1回の航海で700名の避難民を運んだと言われています。ゲーム上、400名までは船内と影響の出ない甲板上に収容できるものとし、それを超える避難民は武装の使用と引き換えに──発砲は厳禁でしたが──乗せることができます。最大800名を輸送できます。しかし避難民を乗せれば乗せるほど、艦速は低下し、ソ連軍に捕捉される──イベントが発生する可能性が高まります。

史実では各艦2回の航海を行い、合計1,500名の避難民を輸送したと推測されます。また〈伊王〉はソ連機の雷撃を受けた、との乗組員の証言が残っています(回避成功)。ゲーム上、ソ連機の他、水上艦(警備艇)と潜水艦が登場する可能性があり、海防艦にとっては脅威となります。

史実どおり空襲を受けた〈伊王〉。25ミリ機銃(の威嚇射撃?)で撃退に成功。

海防艦が稚内を去った後も輸送船による緊急疎開は続けられ、そして8月22日に三船殉難事件が起こっています。

大泊から稚内まで、『日ソ戦争』の地図でわずか2ヘクス。歩いては越えられないこの2ヘクスを結ぶため、終戦後も海防艦がぎりぎりまで「戦い」を続けました。普通ならゲームで扱われない「秘史」。触れていただければ幸いです。

※本ハガキゲームは小さなウォーゲーム屋でBANZAIマガジン第26号をお買い求めの方に先着で配布しております。後日プリント&プレイのページで公開予定です。

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