昨年、ロシアのウォーゲーマーから、BoardGameGeekのメッセージを通じてとあるゲームのローカライズを打診されました。断りました。ローカライズされた製品がロシア国内で販売され、微々たる額とはいえ、その付加価値税がウクライナ侵攻の戦費に使われるのが腹立たしかったため。ずばり、そう返信したところ、先方からはこう返答がありました。
「もし私があなたの立場だったら、同じように答えると思います。戦争が始まったときは、本当にショックでした。ウクライナには友人や親戚がいます。文化的に最も近い国を攻撃し、ウクライナとロシア両国の未来を破壊するようなことをするなんて、真の悪党以外にはできません」
ああ、あなたも「クルミ世界の住人」(『文化の脱走兵』(奈倉有里/講談社)所収)だった(リンク先は現代ビジネス。「クルミ世界の住人」の全文が読めます!!)。きっとクルミやら何やら自分の「『好き』を分かちあうことを快く思う人」であり、リアルに出会えば、どこの国に行ってもバイカーを見分けられるように、「『同じ顔してる!』と大喜びしてくれた」に違いない。戦争さえなければ。
この話には少し続きがありまして、件の申し出をお断りする際、ゲームの出来が不本意であり、戦争が終わったらつくり直したものを見せたいと伝えてあるのです。戦争、早く終わらせようぜ。

と、前置きが長くなりましたが、World at War第107号『Stalingrad Relief』が発売されました。ゲーム・システムはBattles in the Eastで移動> 戦闘> 機械化移動を行うシークエンス、オーバーランあり。司令部には一般補給と攻撃補給があり、攻撃補給でないと有効な攻撃を行えない。戦闘はコラム・シフトが重要……という手堅いつくりとなっています。

「冬の雷雨(嵐)」作戦と言えば、『第57装甲軍団の死闘』を思い出して欲しいのですが、そちらが戦術級寄りのスケールなのに対し、こちらは連隊/師団が基本単位。半面、スターリングラードの一部がマップに入っており、第4軍団が自力で脱出を図るかもしれない……第57装甲軍団が近くまで来てくれたら……来てね……というドリーム展開込みとなっています。

第4軍団の動向はさておき、ソ連軍としては、スターリングラード包囲部隊からどの程度の戦力をドイツ軍の攻勢に振り向けるのか、自分で判断できるのがポイント。順当にいけば数ターンでドイツ軍の攻勢はモメンタムを失うわけですが、そこからもゲームは続きます──第2親衛軍による反撃が始まるのです。冬の雷雨作戦は、スターリングラードの第6軍は救えませんでしたが、結果的にコーカサスから撤退する第1装甲軍を救うことになりました。この戦略的な要素も勝利条件に加味されており、反撃が不十分だとドイツ軍が勝利します。ドイツ軍の攻勢だけを捉えた『第57装甲軍団の死闘』にはない視座で戦いを俯瞰できます。

本誌には「冬の雷雨作戦」のやられ役、そしてマンシュタインと因縁深いソ連第51軍に関するコラムもあります。
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