今から30年前、ウォーゲームの流通大手は2008年に廃業した東京ミムラ(アークライトが事業を引き継ぐ)でして、同社社長の故・小山氏には翔企画時代からお世話になりました。
コマンドマガジンを創刊する際も、当時「狼の巣」があった都城市から飛行機で上京し、いろいろ相談に乗っていただきました。
「今度、アメリカのウォーゲーム雑誌の日本語版を発行しようと考えているのです」
「これまでなかったし、いいんじゃない?」
「コマンドマガジンと言いまして、この第13号(実物を見せる)がブレイクして、一気に部数を伸ばしたんです」
「湾岸戦争はやめたほうがいいよ」
「この号も日本語版で出そ」
「湾岸戦争はやめとけ」
「おかのした」
結局、小山社長の言に従い、『Desert Storm』(リンク先はBoardGameGeek)は日本語版にはなりませんでした(『Back to Iraq』(リンク先はコマンドマガジン)はやったけど、湾岸戦争ではないのでノーカン)。退職した後に翔企画から発売された『湾岸戦争』(リンク先はBGG)や『砂漠の嵐作戦』(リンク先はBGG)は流通にご迷惑をかけるほどアレだったのでしょうか。ゲーム内容についてはポジティブな印象があるので、テーマと言うより発売のタイミングが問題だったのかもしれません。

ゲームの内容はさておき、この第13号からゲームのコンポーネントもDTP化されており、それまでの号に比べてクオリティが上がっています。この当時、日本だとデータ出力はA4判が限界だったように記憶しています。

ゲーム・バランスは問うてはなりませんが、NNN(Nati, Nukes and Nationalists)世界のグロース・ドイチュラント師団を転生させたり、ゴジラを出したり、殺人光線を開発したりして、何とかしようとした痕跡が認められます。やはり、日本語版を出さなくて正解だった……のか。
しかししかし、BANZAIマガジン第27号では、禁を破ってついに湾岸戦争のゲームが付録になります。「現代機甲戦シリーズ」の第1弾として『砂漠の嵐作戦』が、第2弾『20世紀最後の電撃戦: 嵐作戦』とセットでリリースされます。

ゴジラも殺人光線も出ませんが、秘匿式の勝利条件と適切なランダム・イベントによってゲーム・バランスは担保されています。もちろん展開としては多国籍軍のワンサイドですが、それとゲーム上の勝利条件は別物。短時間で楽しめるプレイアブルな作品なので、ご期待ください!!
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