201X: 中台もし戦わば

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コマンド・マガジン(XTR)最終刊第54号の付録ゲーム『When Dragons Fight(以下、WDF)』(01年)は、2003年頃に中国が台湾に上陸する、という設定だった。ゲームは上陸最初の1週間を扱っており、アメリカをはじめとする西側の介入を受ける前に中国が橋頭堡を築けるかどうかに焦点が当てられている。

幸いそのような事態は起こらなかったが、WDF出版から17年後の2018年、同じテーマの『If Dragons Fight(以下、IDF)』がOne Small Step Gamesから発売された。デザイナーは同じくタイ・ボンバで、こちらは上陸2週間以内に中国が台湾全土を制圧できるかどうかを問う作品である。

時代設定は2010年代の後半(「今後5年以内」という設定だが、発行年よりデザインされた年を基準と判断した)。WDFに比べて10年以上、「未来」の戦いである。現実世界同様、全てが変化した。WDFなら航空優勢やテクノロジーで勝利できた台湾だが、IDFではその優位は失われ、早い話、中国による軍事的侵攻から台湾を守るのは極めて困難になった。数はもちろん、質でも優位が得られないなら、勝ち目がないのである。この点、『The Dragon that Engulfed the Sun』と同じで上陸されたら負け、上陸されないようにどうすべきか、政治的な努力が求められるということだろう。(中黒 靖)

>> サイバー戦が頼みの綱


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