上は1942年に撮影されたコーカサスの第5親衛戦車旅団が保有するヴァレンタイン戦車です。後方にはスチュアートの姿も。『カフカスの防衛』(マクシム・コロミーエツ、ユーリー・スパシブーホフ/大日本絵画)によると、同旅団は1942年1月時点で40両のヴァレンタインを保有し(他にKVが3両、T34が8両など)、10月29日、即ちゲーム『カフカス攻防戦』が始まる直前にM3軽戦車15両が配備されています。
東部戦線、とりわけカフカス(コーカサス)方面ではレンドリースされた英米の戦車が活躍しました。「乗りものニュース」でも面白おかしく書かれていますね。
「バレンタイン」と呼ばれる戦車 英がソに押しつけ?チョコならぬ余り物バレンタイン(乗りものニュース)
このため『カフカス攻防戦』では、『第57装甲軍団の死闘』(57PzK)に比べて登場する戦車の種類が増えています。他誌の連載ですが、それこそ「ユニットよもやま物語」のネタに事欠かないレベル。
戦車ユニットの戦力と移動力の間に数値がありますが、これは57PzKになかったパラメーター。戦車優越値(TS: Tank Superiority)で、TSが上回っている戦車が射撃する時、その分右にコラム・シフトが発生します。IV号長砲身の頼もしいことと言ったら!! 57PzKは戦車の火力というファクターが戦力に加味されていたため、規模の割りに部隊の耐久力が過大に感じられましたが、本作ではその問題が解消されています。
地上支援機は高いTSを持つので、スツーカ(滅多に登場しない)やシュトルモヴィク(結構出てくる)に狙われた戦車は、なかなか辛い目に遭います。装甲列車もTSを持ちますが、「やられメカ」らしく低い値になっています……が、本作の戦車戦力は歩兵に対して3倍(57PzKは2倍)になるので、ドイツ軍としてはスツーカなり戦車で潰しておきたいところ。
戦車の種類が多いので(もちろん、ソ連軍にはT34やKV、T60、T70、装甲車もあります)眺めているだけで楽しめますが、実際運用するとなるとレーティング、特に移動力がまちまちなので戦力の集中が困難で、守るのはいいけれど反攻に転じた時に足並みが揃わない、などという事態が起こります。TSが低い快速戦車だけで先行すると、防御射撃でいいように撃破されます。
第13装甲師団(13Pz)と第23装甲師団(23Pz)所属ユニットの移動力が「?」になっているのは補給の制約を受けるためで、ドイツ軍プレイヤーは毎ターン12移動力を2個師団に配分することになります(各師団上限は9)。第1ターンは第13装甲師団しか登場しないので9移動力フルに使え、ソ連軍に対して機動力で圧倒しますが、第2ターンからはそうもいかなくなります。
ユニットのサンプルに「Brand」の名を持つ不穏な空気を漂わせているものがおりますが、此奴は悪名高きブランデンブルク部隊です。カフカス戦線では8月にNKVDに化けてマイコプに潜入、同市を無血占領する手助けをしており、本作でもEZOCを無視して移動できるという特殊能力を持ちます。もっともオルジョニキーゼには本物のNKVD師団がいるので、同じ手は二度と通用しないでしょうが!!
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