1945年1月28日、ソ連軍のポメラニア(ポンメルン)攻勢への対処として、SS第503(101)重戦車大隊がシュタルガルト東部に派遣されます。大隊は散り散りとなっている防衛線を強化するため小隊単位で部隊を派遣、ポンメルンの州都であるアルンスヴァルデには司令部中隊と約12両のティーガーIIが送られました。2月3日、4両のティーガーIIがアルンスヴァルデに到着し、ソ連軍の攻撃撃退に貢献します。同市を守っていたのは、3,000名のネーベルヴェルファー補充要員と2,300名の警戒・訓練部隊の兵士で構成されたハンス・フォークト少将の戦闘団。
2月6日、[アルンスヴァルデ守備隊強化の命令に応じて]ノルトラント師団はSS第11突撃砲大隊の突撃砲11両と、パウル=アルベルト・カウシュSS中佐のSS第11戦車大隊「ヘルマン・フォン・ザルツァ」を派遣した。この戦車大隊はレーツ付近で敵の前進を阻止していた部隊だった。しかし、赤軍が両翼から圧力を加え始めた結果、脱出してきた避難民の集団の中で身動きが取れず、これ以上の防衛戦が不可能であることが判明した。同日午後にはアルンスヴァルデ〜レーツ間の主要街道が切断され、5,000を超える避難民がアルンスヴァルデ包囲環の中に取り残されてしまった。
『ティーガーII vs IS-2スターリン戦車』(デヴィッド・R・ヒギンズ著/宮永忠将訳/大日本絵画)
2月6日の時点で、アルンスヴァルデに取り残された稼働可能なティーガーIIは7両。一度はソ連軍への投降を検討したフォークトですが、北への突破を主張するSS第503重戦車大隊の将校たちに説得されました──というところから始まるのが、今月末までにPnPゲームとして公開予定のソリティア・ゲーム『アルンスヴァルデ包囲戦』です。プレイヤーは7両のティーガーIIを指揮し、血路を開く、あるいは友軍が助けに来るまでソ連軍の攻撃を撃退しなければなりません。
80年前はアルンスヴァルデ、現在はホシュチュノと呼ばれる町はここにあります。
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赤丸が付いたヘクス2608です。ちょっと拡大してみましょう。
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ソ連軍にがっつり包囲されています。マップは本日12時から予約開始の『グデーリアン最後の賭け』(宣伝#1)。ゲームは2月15日から始まりますが、『アルンスヴァルデ包囲戦』はそれまでの約10日間を扱います。今回のハガキゲームはサイコロは使わず、トランプだけで完結します。ソ連軍部隊はトランプで表され、判定もトランプで行います。その理由は……本誌特集「このシミュゲがすごい!! 2025年版」の鹿内靖氏のレビュー「ウォーゲームならずもの部隊」をお読みいただければと思います(宣伝#2)。
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当時の地図を加工してマップに使いました。『グデーリアン最後の賭け』のマップと見比べてください。
ハガキゲームで勝利できなくても、『グデーリアン最後の賭け』でアルンスヴァルデを救援すれば実質的な(精神的な)勝利を得られるはず? プレイ時間はかかりますが、東部戦線末期戦の醍醐味を味わっていただけます。
なお印刷されたハガキの『アルンスヴァルデ包囲戦』は、小さなウォーゲーム屋で来週以降発送の商品をお買い上げいただいた方に数量限定で配布いたしますので、よしなに(宣伝#3)。
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