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『スコープ: Uボート通商破壊戦』ルール解説

昨日に引き続き、今度は『スコープ: Uボート通商破壊戦』のルールをざっくり紹介いたします。

スターリングラード狙撃戦』『黒い森の戦車戦』はおおよそ対称戦でしたが、『Uボート通商破壊戦』は完全な非対称戦。1人は潜水艦、もう1人は輸送船団とその護衛艦を受け持ちます。それ故、プレイ感は他の2作とまるで異なります(上級ルールを用いた「海戦」モードを使えば、対称戦になる艦隊戦も楽しめるようになっています)。

一番シンプルなシナリオ「一匹狼」を例にします。このシナリオはタイトルどおりUボートは1隻のみ、連合軍側は貨物船2隻と駆逐艦1隻で、Uボート側の勝利条件は2点を取ること──貨物船を2隻とも沈めるか、駆逐艦を沈めれば勝利。連合軍はUボートを沈めればもちろん勝利。または、貨物船が1隻でも反対側(つまりドイツ軍側)から突破すれば安全圏に脱出したものとして勝利します。今回、連合軍を受け持つ筆者は、『黒い森の戦車戦』の敗戦に学び(あの対戦、結局負けたのです)、Uボートを駆逐艦で威圧しつつ貨物船の突破を目指したいと考えました。

セットアップしたところ。5列 x 5段の大海原が広がります。

連合軍は手前2段に艦船カードを配置。左上にコンテナっぽいアイコンが記されている2隻が貨物船、爆雷アイコンが記されているのが駆逐艦です。右上の数値はポイント。駆逐艦に記された稲妻マークは高速艦で、自分のターンに縦横斜めにカード1枚分移動できます。稲妻マークがない貨物船は低速艦で、2ターンかけてカード1枚分移動します。Uボートはドイツ軍の手前1段のどこかに潜んでいます。

猟犬は猟犬らしく仕事をします。

ドイツ軍先攻で互いにターンを行います。基本ゲームでは、自分のターンにアクションを1つ行い、その後で魚雷がカード1枚分移動します。この魚雷は敵味方関係なく移動するのがミソ。連合軍ターンであっても、連合軍のアクション終了後にドイツ軍が放った魚雷が移動するのです。

基本ゲームではできることはシンプルで、ドイツ軍は移動するか魚雷を発射するか。移動はシリーズお馴染みの方法で、2列 x 2段の4枚を選んで配列を変更するというもの。魚雷発射は潜水艦の位置を公開してその上に魚雷トークンを置きます。この時、魚雷の発射方向を縦横斜め8方向から1つ選んでトークンを向けます。先ほど、アクション後に魚雷が移動すると書きましたが、発射直後だけは例外で魚雷は移動しません。

連合軍ができることは、高速艦(駆逐艦)の移動か低速艦の移動のどちらか。高速艦は縦横斜めにカード1枚分移動でき、移動を終えたカードをめくり、Uボートなら即撃沈!! 低速艦(貨物船やタンカー)の移動なら、移動方向を示す方向トークンを置いてそのターンは終了。次の連合軍ターン開始時に、問答無用でその方向にカード1枚分移動します。勘の良い方は既にお気づきと思いますが、低速艦の移動方向が明らかなので、タイミング良く魚雷を放てばそれなりの長距離からでも命中するし、Uボートが複数隻いれば、1隻が囮になって適当に魚雷を発射し、低速艦が回避した方向に別の1隻が魚雷を放つ、などという戦術も成り立ちます。

序盤はUボートは移動に次ぐ移動。戦闘海域の向かって左で動いたかと思えば、今度は右で動く。どちらかがブラフと思われますが、どうにも右の動きが「臭い」ので、中央に位置していた駆逐艦を右方向へ移動させます。

このカードは「スカ」。見つかれば即ゲーム終了なので、Uボートは簡単に尻尾を掴ませてくれません。

先ほどUボートの移動は「2列 x 2段」の4枚で行うと書きましたが、ひとつ例外があり、その2列 x 2段に駆逐艦が含まれている場合、駆逐艦が置かれている海カードは移動対象にはなりません。

わざわざこの3枚を選んで移動するってことは、このどれかがUボートなんでしょ?

Uボートを圧迫していると判断した筆者は、当初の目論みどおり貨物船の突破を図ります。「低速艦の移動」を選択して左側の貨物船を動かします。

方向トークンを置いて、次の連合軍ターン開始時に前方へ進むことを明らかにします。

右側の海域に潜んでいると思われるUボートが魚雷を発射したとしても、距離が離れているので十分回避できそうだし、何より姿をさらしたが最後、「猟犬」が飛びかかります。勝ったわ!!

11時の方向、雷跡!!

ところが、Uボートが潜んでいたのは戦闘海域の左側でした。「魚雷発射!!」左斜め前に向けて魚雷トークンが置かれます。発射されたターンは移動しないので、次の連合軍ターンの終わりにこの魚雷はカード1枚分進みます。そしてそこは……

魚雷命中!!

低速の貨物船が自動的に移動するスペースでした。魚雷トークンが艦船と同じスペースに進入すると命中、轟沈します。ドイツ軍1点獲得。貨物船をあと1隻沈められると連合軍の負けです。駆逐艦はUボートがいた海域へ急行し、Uボートは移動を使って姿をくらませます。必死でUボートを探し求める駆逐艦……そこで筆者はミスを犯してしまいました。いや、Uボートはこの機会を狙っていたのか。

わ、惑星直列(アルティメットメテオブレイク)!?

駆逐艦と貨物船、Uボートが一直線に並んだところで魚雷が放たれました。連合軍ターン、駆逐艦を移動させれば魚雷を回避できますが、魚雷が1スペース分進む。次のドイツ軍ターンでUボートは移動して駆逐艦から離れるから爆雷攻撃を回避できる。そして魚雷が1スペース分進む。その次の連合軍ターンで低速艦の移動を選んでも、実際に移動するのは次の連合軍ターンであり、その前に魚雷が1スペース分進んで……回避間に合わへんやないかい!!

取り舵一杯!! 間に合いません!! どーん(魚雷命中)!!

勝利条件を達成したドイツ軍が勝利しました。

1回の手番でできることが限られているのでプレイ負荷は小さいけれど、一瞬の判断が致命的な失敗につながるので、よく考えて行動しなければならないし、何より相手との駆け引きが楽しい作品に仕上がっています。ルールは増えますが上級ルールを用いると使用できる艦種が増え、さらに戦術のバリエーションが増えます。なお、水上戦は『黒い森の戦車戦』同様、砲撃力(命中)と距離(外れ)、目標の装甲(外れ)カードでデッキをつくって解決します。

戦艦に護衛空母、Sボートも登場。

4月27日のゲームマーケットでは本作か『黒い森の戦車戦』、または『1898年の大厄災』の試遊を楽しんでいただけます。ご興味がある方は是非C08、ボンサイ・ゲームズのブースへお越しください!!

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