来月はいよいよBANZAIマガジン第19号が発売されます。次号もさらに充実した誌面構成となっており、その内容はおいおい紹介するとして、しばらく付録ゲームに関する話題を。
『カフカス攻防戦: 第3装甲軍団の死闘』の原題は『Panzers along the Terek: Operation Ordzhonikidze』、直訳すれば「テレク川沿いの戦車群: オルジョニキーゼ作戦」になります。このオルジョニキーゼ(ウラジカフカス)がどこにあるかと言えば……
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中央下の赤い線、「11/5、第13装甲師団あと5 kmに迫る」と記された場所です。『コーカサス・キャンペーン』をお持ちの方は是非マップを広げて確認してください。A軍集団の先鋒を務めた第3装甲軍団は兵站の限界に達しつつも1942年10月末、オルジョニキーゼの攻略、そしてグロズヌイへの侵攻を企図していました。オルジョニキーゼから見て、テレク川を挟んだ向こう側、ギゼリまでは突入したものの、第13装甲師団はそれ以上の前進はできませんでした。それどころかソ連軍の反攻が始まり、突出した第13装甲師団は包囲殲滅の危機にさらされたのです。
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ゲームでは、ドイツ軍はオルジョニキーゼを支配すればサドンデス勝利を得られますが、「バルジの戦い」でリエージュとナミュールを完全支配する以上の難易度かと思います。NKVD師団も黙ってはいない。そのため通常は勝利点による勝敗判定となり、ドイツ軍はどれだけ戦線を進め(=結果としてソ連軍の反攻を遅らせ)、町を支配し(=この後、安全に後退し)、敵に損害を与えたか(=どれだけ反撃の勢いを削いだか)で得点し、ソ連軍は町の支配と敵ユニットの除去で得点します。
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ソ連軍にはレンドリースされた戦車が多数存在し、ギゼリまで前進するのもひと苦労です。そう考えるとドイツ軍としては無理をせず、最初から守りに入りたくもなりますが、序盤、戦力に余裕があるうちにソ連軍を叩いておきたいし、前進するほど得点と補充でボーナスが得られるので──ギゼリを支配すればソ連軍の南北連絡線を分断することによる得点もあります──どこまで進んでどこで守るかの判断が重要です。ソ連軍としては、ドイツ軍に計画どおりに前進/後退させないよう、どこかで反撃する必要があります。
恐らく多くの方が初めて訪れることになる戦場で、作戦的・戦術的思考を存分にめぐらせていただければと思います。
次の投稿では両軍のユニットを紹介します。
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