戦闘結果表のダイス目修整は、両軍の差を表すのにたいへん便利である。A軍には出る可能性がある結果が、同じ条件の戦闘でもB軍には出ない、あるいはその逆をダイス目修整だけで演出できる。第二次世界大戦の東部戦線の場合、ソ連軍が攻撃するとEX、相互損害が発生する確率があるが、ドイツ軍の場合はそれがDR、防御側退却またはDE、防御側壊滅に置換されるといった場合である。
『ワルシャワ1920』でもこのダイス目修整を用いた。
赤軍は内戦を戦ってきたが将校の質に問題があり、「1920年の春までには赤軍幹部の80%以上を元ロシア軍将校が占め」てはいたものの忠誠心が疑われ、「トロツキーは、各将校に政治委員という『監視役』をつけ」ることでこの問題に対応した(鉤括弧内はヒストリカル・ノートより)。それでもソ・ポ戦争中に騎兵旅団が丸ごとポーランド軍に寝返ることもあった。
一方のポーランド軍もできたばかりの軍隊であり、オーストリア軍で戦っていた者、フランスで「青軍」に属していたエリート、ドイツ軍出身、シベリア帰りなど、使っている武器も違えばドクトリンも異なり、全体として洗練された組織ではなかったのである。
それでもポーランド・レギオンは赤軍に対して極めて有効に戦ったため、レギオンに所属するユニットが攻撃に参加する時、ダイス目+1修整をつけた。なお、レギオン所属を除く騎兵にこの修整はない。ソ・ポ戦争では騎兵が活躍したが、打撃力ではなく機動力のおかげだからである。
上は製品版の戦闘結果表(CRT)だが、最初のバージョンでは1:1以上の比率は「1」の目がEXとなっており、つまりポーランド・レギオンが攻撃を行うとEXのリスクなしで攻撃が可能だった。ポーランド軍は序盤から活発に反撃しており、このことはその動機づけになったが、リスクがなさすぎるのも問題だった。というのも、ソ連軍は自軍の1フェイズを補給状態にするためには補給ポイントを支払う必要があり、支払わなければ戦闘力なり移動力が半分になる。この制限はポーランド軍の戦闘フェイズにも課せられ、補給ポイントを支払わなければ防御力が半分になってしまう。全てのフェイズに補給ポイントを支払う余裕はないので、ポーランド軍が反撃で3:1以上にもっていくのはさほど難しくないのである。
テストプレイの結果、3:1以下はEXのリスクを負わせるべき──無謀な攻撃に失敗すると戦線が危うい状態になるように変更された。
それでも、ポーランド軍は赤軍の勢いを削ぐために3:1以下の戦闘比でも反撃を行わなければならないことがある。肝心の場所にレギオンがいないこともある。歴史と同様、楽には勝てないのだ。
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