部隊を表すユニットが、戦術的な機動や火力などをもって影響を及ぼせる範囲を表すZOC(Zone of Control)。この発明がホビーウォーゲームにリアリティとプレイアビリティを与え、今日の基礎を築いたのは間違いありません。時間とマップのスケールを調整する、あるいは効果に様々な強弱をつけることで、あらゆる時代の戦いに応用できたのも大きいでしょう。
マーク・ハーマン氏がZOCのさらに1ヘクス先に及ぶZOI(Zone of Influence)を発明し、部隊の機動と会戦の決断をクローズアップしたのも記憶に新しいところ。『Gettysburg』と『Waterloo Campaign 1815』であります(リンク先はどちらもBoardGameGeek)。敵のZOIに進入した部隊は移動を停止し、戦闘隊形に変換してZOCに進入し、戦闘に臨むことになります。ユニット間に間合いをもたらすことで、19世紀の作戦を表現しました。
他にもZOCライクな概念はあるかと思いますが、意外なところから新概念が登場しました。その名もLOF(Line of Friction)、摩擦線と訳すべきでしょうか。

ゲームはソビエト=ポーランド戦争(あるいはポーランド=ソビエト戦争)を扱った『1920: Nest of Eagles』。PHALANXのゲームです。このゲームでは、一定規模のユニットは、接している6つの角から伸びるヘクスサイドに対して、摩擦線を持ちます。
FrictionのFと言えば、戦争の3Fのひとつ。Fortune of WarとFog of War、そしてFriction of War。Fortune of Warはダイス運で表されるとして、本作では同一戦域(マップが3戦域に分かれています)内で同じ目的地へ鉄道輸送を行うユニットは、その行き先を秘匿できるというルールがあるので、それでFog of Warが表されています。

ZOCは面に対して効果を持ちますが、LOFはそこを通過するアクションに対して影響します。摩擦線を越えて移動しようとすると、余分な移動コストがかかるとか(特定地形には進入できないとか)、大河を渡れないとか、補給線を引けないとか。いわゆるZOC to ZOCのみ効果と解釈できますが、敵のZOCに進入する、敵のZOCから非ZOCへ離脱する際には何の影響も受けないので、この概念のほうが理解しやすいかもしれません。
また戦間期の戦いということで、機動と火力が塹壕や防御戦術を上回っており、面に影響するZOCよりもLOFのほうが合理的な表現方法なのかもしれません。
非常に面白い概念だと思いますが、これを視覚的に認識しやすくするには6角形のカウンターを使う必要があるのが難点か。一方で、LOFを持たない支援ユニットは円形のカウンターを使うなど、部隊の運用方法によってカウンターの形を変えており、ユーザビリティは非常に高くなっております。
果たしてLOFがどんな効果をもたらすのか、実地で確認したいと思います。
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